南山土地区画整理事業に関する東京都環境局への申し入れ書(全文)


2002年12月18日

東京都環境局長 小池正臣殿

日本共産党稲城市議会議員団
同  都議会議員 清水秀子
同  参議院議員 緒方靖夫


 稲城市の南山東部区画整理事業をめぐり,「オオタカと自然を守って」との市民の声が広がっています。

 南山は,多摩丘陵の東端に位置し市民に親しまれている里山で,鳥類では,八王子リサーチパークを上回る90種が生息しています。環境省が危急種に指定しているオオタカをはじめ,トウキョウサンショウウオ,植物ではタマノカンアオイ,エビネなど,区にや都が保護上重要としている動植物も数多くみられます。同区画整理事業計画は,宅地開発のためにこの豊かな里山の大半を丸裸にし,破壊するものとなっています。

 いま,全国で里山の役割が見直されつつあり,最近では鎌倉市が近郊の里山を買い取り保全する措置をとりました。多摩丘陵東部では,ニュータウン建設によってすでに多くの里山が失われ,南山はわずかに残された貴重な存在となっています。近年,川崎市側では積極的な里山保全策が開始されており,南山を全体として保全することは,多摩丘陵東部の緑のネットワークを確保するうえでも欠くことのできない課題です。バブル期の計画にしがみつくのではなく,地権者の理解と協力をえながら,この道を切り開く都と稲城市のイニシアチブの発揮がつよく求められています。

 同時に,南山の区画整理事業計画をめぐって見過ごすことのできないのは,オオタカの生息実態についての環境影響評価書の記述が,市民団体の調査結果と大きく食い違っていることです。

 生息状況を系統的に調査してきた市民団体は,現在も南山のほぼ全体がオオタカの効利用域となっており,重要な餌場などとして利用されているとしています。この11月には,97年と昨年,今年,区画整理の予定地内に営巣・繁殖していたことを確認したとの調査結果が公表されました。一方,評価書では,2000年までの調査をもとに,オオタカの高利用域は南山の「多くて2割程度」にすぎないとし,「96年以降南山にはオオタカは営巣していない」としています。

 今年3月の都知事の審査意見書では,「更に営巣期等の補足調査を行う」ことが提起されたにもかかわらず,評価書には今年度の調査結果が反映されませんでした。しかも評価書では,今年度の補足調査の「結果がまとまり次第,調査結果に対応した措置を検討する」とされているのに,その内容はいまだに正式に公表されていません。

 オオタカ保護のための環境省「ガイドライン」や東京都の「指針」では,営巣木などを中心とする「営巣中心域」では,開発を原則禁止しています。オオタカの生息の正しい認識は,開発計画の是非にかかわる問題であり,このような調査の現状のままで開発がすすめられることは絶対に許されません。

 この点で,いま重要なことは,専門家によるオオタカ検討委員会をたちあげ,生息状況について客観的で科学的な調査を行なうことです。

 以上の点をふまえ,オオタカと里山の自然を保全する立場から,都が次の対応を講じられるよう要望します。

【要望事項】

一,多摩丘陵東部の緑のネットワークを確保するためにも,稲城市と共同し,地権者の協力をえながら,南山の自然を全体として保全する抜本的な措置を検討すること。

一,都がイニシアチブを発揮して,専門家によるオオタカ検討委員会を発足させ,南山と周辺のオオタカの生息状況を調査し,保全対策を確立すること。

一,今年度の「補足調査」結果について,適切な形で,すみやかに公表させること。