「しんぶん赤旗」(1999年6月29日)東京のページより
土地区画整理事業
財政負担にあえぐ稲城市
「土地区画整理事業」を相次いでおこなっている稲城市(人口67,000人)が財政負担の過重に悩んでいます。しかもバブル崩壊で市内矢野口地域の区画整理にかんする都の負担金、交付金は20億3,000万円も減額され、事業そのものの再見直しを迫られています。
住民の純債務「全国第2位」
稲城市は幹線道路沿いを中心に区画整理事業をすすめ、今後、事業化を予定しているものも含め、10ヶ所約390ヘクタールにのぼります。事業は長期間にわたり、これが財政を圧迫し、5月15日付「週刊ダイヤモンド」は「稲城市は後年度負担(将来へのツケ)比率全国第1位」「住民ひとりあたりの純債務(借金)全国第2位」と伝えました。
とくに矢野口周辺の区画整理事業(事業費219億9,300万円、人口1,450人、面積16.8ヘクタール、減歩率23.08%)は財政的に重大事態を招いています。同事業はJR南武線の立体交差化、多摩川のスーパー堤防事業などと並行し、幅27.7メートル〜38メートルのトンネル式の都道(南多摩尾根幹線)を含む都の幹線道路用地を生み出すためのものです。
用地ねん出の矛盾が一気に
地価におうじて支出されるとの交付金と負担金は、地価下落にともない20億3,000万円も減らされ、逆に市負担金は49億9,000万円も増え151億1,300万円となり、施工期間も5年延長(2007年3月まで)、3月に事業計画を変更しました。
都道用地ねん出のための区画整理事業の矛盾が一気に吹き出た形となっています。
25日の市議会建設環境委員会で、JR南武線の矢野口駅周辺の「区画整理を考える会」が提出した陳情(370人署名)が審議されました。内容は(1)住民との話し合いを尊重し仮換地指定(宅地の移動先指定)を当分凍結してほしい(2)市は事業を一方的に強行しないでほしいというもの。3時間の論議のすえ賛成3(日本共産党、市民クラブ、市民自治)、反対3(市民クラブ、稲政会、公明党)の可否同数。委員長(公明党)採決で不採択となりました。
孫や子の負担説明できない
市側は「区画整理審議会の公開は必要だ」「陳情が出てきたことは受け止めなければならない」「財源がきわめてきびしく、施工区域も検討しなければならない」とのべました。しかし「矢野口の区画整理は最優先ですすめる」とのべました。
傍聴していた住民は「幹線道路を事業からはずせば減歩が低くなる。なぜそうしないのか」「市が説明すれば住民は賛成したことになるといわんばかりの印象を受けた。孫やこの負担になる清算金がいくらになるのか、孫や子に説明できないのがつらい」を不満をのべていました。
「矢野口駅周辺土地区画整理事業を考える会」の小川喜久雄会長は「まちづくりはこれでよいのか。市は計画の説明はするが勝手に線引きをした。住民に相談はなかった。道路の環境影響評価(アセスメント)は、都条例で道路の長さが1キロメートル以下は実施しなくてよいとされていることを理由に実施していない。これも納得できない。公害をもたらす幅38メートルもの幹線道路の用地をなぜ住民が負担しなければならないのか。府中市の区画整理では都市計画道路は区画整理から除外され、全面買収になった」とのべています。
同会は7月3日に市と話し合うなど、ひきつづき住民本位のまちづくりのため運動をつづける方針です。
土地区画整理事業
土地区画整理事業法にもとづき、都市計画区域内の土地について、「土地の所有者から道路、公園など公共用地を生み出すために土地の一部を提供してもらい(減歩)、宅地の形を整えて交付する(換地)もの」(東京都編「都市計画用語集」)です。