マンションだより「新しい絆」 1999年6月

楽しく豊かなマンション住まいのために

連載第2回−マンションの欠陥問題について

鈴木博行(一級建築士)

欠陥補修の責任は? 

  マンションに起こるトラブルのうち、建物の欠陥(瑕疵−かし=きず)がかなり多くの部分を占めています。

  水漏れ、雨漏り、結露など様々な問題が起こります。騒音の問題もよく起こりますが、音については感じ方に個人差があり、また共同で住む以上全く無くすわけにはいきませんが、それでも気になって眠れないほどの水音やポンプの音などはやはり欠陥と言うべきでしょう。

  このような欠陥に気がついたらどうしたらよいか、またマンションの作り手や売り手にはどんな責任があるのでしょうか。

  瑕疵が発生した場合の責任(担保責任)について民法では、請負工事については、鉄筋コンクリート造のような堅牢な建物の場合、10年は請け負った業者が補修する責任があるとされています。(ただし建物の引き渡しから1年以内に請求する必要があります)

  ほとんどのマンションのように売買で購入した場合の瑕疵については瑕疵を知ったときから1年以内に請求した場合、損害賠償、または契約の解除を求めることができます。

短く実情にあわない保証期間

  しかし、このような法的な定めがある一方で担保責任期間は建て主と請負業者、売り主と買い主の間の特約で決めることができるとされているため、請負工事の場合は、契約の際の約款で保証期間は建物で2年、付帯設備で1年と定めるのが一般で、売買の場合も宅地建物取引業法で引き渡しの日から2年以上とされていても実際には2年とされるのが普通です。

  欠陥がわかったらまず、売手(または請負業者)に補修を請求することになりますが、マンションの場合2年以内に発見することは少なく雨漏りや結露なども入居後かなり立ってから気がつく場合が多いのです。

  したがって欠陥をめぐる様々なトラブルの中から「瑕疵担保期間の延長」の要求が強まり、国会でも衆・参両院の建設委員会で日本共産党が10年以上に延長するように繰り返し要求し建設省も検討を約束しました。

保証期間延長の動きも

  その後、住宅・都市整備公団の分譲マンションについては構造躯体(くたい)、屋根部の瑕疵は10年、外壁部は7年といった基準を定めて重要部分の補修を契約の際、保証するようになりました。

  また、民間のマンションの場合も雨漏りなどの場合に担保責任の追及の前にまずは雨漏りを止めなければならす、売手側で「アフターサービス期間」として一定の補修期間を売買契約の際に保証するようになりました。しかしこの場合も、屋根の雨漏りで5年、外壁からの雨漏りで3年などとなっていてやはり現実と合いません。

  1992年には総務庁が「瑕疵担保期間の延長」「アフターサービス期間の延長」を建設省に勧告しました。この勧告ではまた、木造住宅などで制度化され始まった「住宅性能保証制度」(耐震、防水、防音、耐火、断熱などの性能を保証する制度)の分譲マンションへの摘要を指導するよう建設省に求めました。「住宅性能保証制度」については、建設省もようやく法制化にのりだし、今国会に提案され審議中です。

泣き寝入りせず要求を

  このように瑕疵の補償の問題は、次第に改善されつつありますが、解決の道はなんといっても欠陥に気づいた居住者が、泣き寝入りせず補償の要求を積極的に行なうこと、同じ要求を持つ仲間を増やし管理組合の問題にもしていくことです。

  最近、筆者の係わったマンション相談の中で、ひどい結露に悩まされた居住者が販売会社に要求して二重サッシに改善する約束をさせたという例もありました。

  瑕疵担保期間のところではふれませんでしたが、マンション販売会社は建物を建てるときに請負会社に工事を発注します。その際、請負会社は販売会社にたいして瑕疵担保責任を負うことになります。

  したがって請負会社から、例えば屋上防水については10年間は無償で補修するという保証書を取るのが普通です。あるマンションでは、入居後6年で雨漏りが起こり補修を求めたところ、5年間の保証期間が過ぎたからとして有償にされました。こうしたケースはかなり多いのですが、販売会社は請負業者に無償で補修させるのですから入居者が払った分だけもうけたことになります。

  「保証期間の延長」という要求にはこうした意味からも道理があるのです。

前向きな解決のために

  このようにマンションの欠陥にたいして売主や請負業者に補償を確実に行なわせるのと同時に瑕疵担保期間の延長の運動もぜひ行なう必要があります。

  欠陥問題だけでなくマンションに係わるトラブルが頻繁に起こるため、これに積極的に対応するように日本共産党や住民からの働きかけがあったこともあって自治体でも相談窓口を設けたり、専門家にコンサルタントを委嘱して相談をさせるところも出ています。

  欠陥を見分け、居住者主体の適切な対策をとることは売主や請負業者任せではできません。建築家や弁護士など専門家アドバイスを受けることが望ましいし、自治体にたいしてそのための財政的な援助も求めていくべきでしょう。

  このような運動を通じてマンションの質を向上させ、欠陥の起きない建物が保証されるように進めていきたいものです。

つづく


マンションなんでも相談 Q&A

  築15年のマンション。給排水劣化診断をしたところ、温水器から漏れた水を受ける排水管が腐食していて、水漏れをおこす危険があることがわかった。排水管は床下にあるが専有部分か共有部分か。

  一般に、給排水設備は各戸のメーターから住戸内を専有部分とし、各戸メーターから外の本管部分を共有部分とする。排水管にはメーターはないが、枝管は専有部分、本管は共用部分ということになる。しかし、排水管の清掃は、枝管本管を区別せず、同時に行なわないと効果がない。枝管が下の住戸の専有部分を通る場合もあるので、この区分をそのまま維持管理の区分とするのは問題がある。排水管の維持管理はその全体を共用部分として扱い、修繕費用は管理組合が負担するのが適当といえる。


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