マンションだより「新しい絆」 2001年3月号
「マンション管理適正化法」が成立 9月に施行予定
日本共産党 管理のトラブル解決へ,いっそう支援をすすめます |
昨年12月に「マンション管理の適正化の推進に関する法」(マンション管理適正化法)が,国会で成立しました。 日本共産党国会議員団マンション問題対策委員長の緒方靖夫参議院議員に「マンション管理適正化法」について聞いてみました。
−はじめにこの法律がつくられた背景についてお聞かせ下さい。
緒方 分譲マンションは,大都市を中心にこの3年間で急増し,都内では65万戸以上にも達しています。 それにともなって老朽マンションの建て替えをめぐる問題や管理会社のずさんな管理などによるトラブルも増え,マンション管理組合の団体や日本弁護士連合会などから適切な維持・管理ができるよう,国としての対策が求められていました。 日本共産党も,かねてから「マンション管理支援法(仮称)」を提案し,その制定を強く求めてきたところです。
こうした動きを背景に,初めてマンション管理の法的支援策ができたことになります。
−法律の内容と特徴について,日本共産党はどのように考えていますか。
緒方 法律の主な内容は別表の通りですが,マンション管理を始めて法律に明記したことや管理会社に法の網の目をかけたこと,宅建業者から管理組合への設計図書交付を盛り込んだことなど,積極的に活用すれば管理のトラブル解決の一助になるものであり,日本共産党としても賛成しました。
しかし,法律にはあいまいな点や不明瞭な点があり,懸念する声も寄せられていましたので,日本共産党としては,できるだけ実行性ある法律に改善させる立場で質疑し,提案もおこないました。
「マンション管理適正化法」の主な柱 |
1 国土交通大臣がマンション管理の適正化に関する指針を定める
2 マンション管理士制度の新設
3 マンション管理業登録制度の実施
4 マンション管理適正化推進センター(以下「センター」)の設置 マンション管理の適正化を図るため,センターを設け,次の管理組合支援を行なう。情報および資料を収集し,管理組合に提供したり,管理者などへ技術支援を行なう。また,苦情処理のために必要な助言を行なう。 5 宅地建物取引業者は,管理組合へ設計図書を交付する ○附則として,3年後の見直しを規定。 |
−マンション管理士については,どのような質疑がされましたか
緒方 管理組合の運営にあたっては規約改正や長期修繕計画作成など専門知識が必要で,区分所有者だけでは対応できない場合もありえます。 そこで今回の法律では,管理組合に助言・指導(有料)をする管理士制度を国家資格としてつくるとしているわけです。
しかし管理士が,区分所有法上の管理者になれるという点が懸念されていました。 私は,この点について,管理業者や建設会社の社員が管理士の資格を取り管理者になった場合,業者に都合の良い業務を行なわない保証はないと指摘し,管理士が業として管理者になることは原則として禁止すべきだと提案しました。
実際,大規模修繕工事を受注する狙いで建設会社の社員が管理組合の理事に就任するなどの事例はたくさんあります。
提案者は,「管理組合が自主的に決定する」のが法律の原則だが,「管理士が公正,妥当性を欠く場合は登録を取り消す」などと答えるにとどまりました。
この点は,運用を通じて改善させていくことが必要だと思います。
−管理会社の登録制度についてはどんな質疑がありましたか。
緒方 現在,管理会社は千数百社あるといわれ,管理組合役員の経験が少ないのにつけ込んで,不当な業務委託料を請求するなど悪質業者も後を絶ちません。 とくに,建設省の内部規定では丸投げ(一括再委託)を禁止しているのに,総務庁の調査では約4割の業者が管理委託契約書でいまだに丸投げを可能としています。 今回の法律では,管理業者は国に登録が義務づけられました。 登録にない業者は委託できないことになります。 これは当然です。
しかし,これまで再三の指導に従わなかった悪徳業者がすでに存在しているわけですから,居住者の利益を守る立場から,こうした業者には登録を認めない措置をとることが必要です。
私のこの提案に対し,提案者は「(登録を認めた上で)不正や違反行為があれば罰則で是正する」と答えるにとどまりました。 不十分であり,今後のきびしい監視が必要だと思います。
緒方 今回の法律では,管理業者に対して,受託内容の重要事項についての管理組合への説明や定期的に管理事務報告を行なうこと,一括再委託の禁止,受託を受けて管理する修繕積立金などの名義を管理組合理事長名義とすることなどの規制も課されました。
これらも当然ですが,私は,その上にたって,大手管理業者の「収納支払代行システム」の規制について提起しました。
このシステムは,管理業者が区分所有者の個人口座から管理費等を毎月口座振込で収納し,そこから立替え払いした管理組合費用を差し引いた金額を組合口座に振り込むもので,管理組合の財産を事前承認なしに,管理業者に都合よく支出することを可能にするものです。 大手業者の中には,組合口座に振り込むまでひどい場合は1年以上もかけ,その間そのお金を自社の運転資金などに充てているところもあります。
今回の法律ではまったく触れていませんが,私は,このシステムは原則禁止すべきだと提案しました。 提案者からは,管理費用の内訳,使途など明らかにならない会計処理があれば「ただちに是正する」などとの答弁がありましたが,これも今後の監視が必要です。
−「マンション管理適正化指針」については内容が明記されていませんが。
緒方 指針は,管理組合の運営,長期修繕計画,行政のとるべき措置などの内容となる予定です。 そこで指針の策定にあたっては,マンションの管理組合や関係団体・有識者の意見・要望などをよく聞いて反映させることや事前に原案を示すことを要求し,原案を委員会に事前に知らせることを提案者に約束させました。
−管理組合の法的位置づけがないことを心配する声もありましたが。
緒方 法律本文の中に位置づけの文言がなく心配されるのは当然です。
この点では,同僚の塩川鉄也議員が衆議院建設委員会で,「管理の主体が管理組合であることを明記すべき」と主張し,提案者から「主体は管理組合であるとの認識で運営にあたる」との答弁を引き出しました。 心配がないよう,その主旨を徹底させていきたいと考えています。
−最後に,よりよいマンション管理へ,今後どのようにとりくみますか。
緒方 日本共産党は,二十数年前から各地域でマンション相談会を開催し,管理組合や居住者のみなさんと一緒に問題解決に取り組んできました。 固定資産税の減税や大規模修繕などへの支援も国や自治体へ働きかけてきました。
「住宅は福祉」という考え方はヨーロッパでは今や常識です。 とくに分譲マンションは,都市型住宅としてさらに重要な位置を占めるようになるでしょう。 マンション居住をより豊かで快適なものにしていくために,今回の法律だけでは不十分であり,いっそう本格的な支援が必要です。 そのためには,区分所有法をはじめ,宅地建物取引業法,建築基準法など関連法の改正や,新築分譲マンションの青田売り禁止,区分所有者に不利な「原始規約」の制限など新しい法律も求められています。
今後とも,良好なマンション管理をめざしてみなさんとごいっしょにさらにがんばります。
「マンション管理適正化法」……各界・関係者からの意見 |
| 住宅政策,やっと入り口
日本マンション学会副会長・弁護士 折田泰宏氏
(「マンション管理新聞」2000年11月5日付) 購入者を守る体制の確立を 大阪市立大学院生活科学研究科教授・日本マンション学会関西支部長 梶浦恒男氏
(「マンション管理新聞」2000年11月25日付) 緒方議員の質疑を法律の具体化に生かしてほしい 日本住宅管理組合協議会常務理事 原 直男氏
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3月17日(土)午後2時〜4時
日野勤労福祉センター(JR豊田駅北口1分)
相談員:弁護士 佐治融さん・一級建築士 鈴木博之さん
「マンション管理適正化法」前文をご希望の方は,ご連絡下さい。