マンションだより「新しい絆」 2001年10・11月号


小泉内閣の特殊法人改革で

「住宅金融公庫の廃止」案が浮上


住宅購入・マンション維持管理への影響はどうなる?

 住宅金融公庫の廃止案が特殊法人改革の焦点の一つとなっています。住宅金融公庫は,国民の住宅購入や維持への資金供給に大きな役割を果たしてきました。同公庫が廃止された場合,これらにどんな影響が出るのか考えてみました。


長期・固定・低金利の「公庫ローン」がなくなったら

 公庫ローンの特徴は,「長期・固定・低金利」(最長35年ローンで2.6%)で住宅ローンが組める点です。これは公庫金利が特殊法人として法的に2.0から5.5%に抑えられていて,調達金利に「逆ザヤ」が起きても,その損失は税金で補填されるからです。公庫ローンにはこうした利点があるため,契約者はこの3年間でも年間50万戸にも達し,その内訳は年収800万円までの世帯の8割が利用しています。

民間にまかせたら…

 現在の契約者は「順当な返済があるかぎり影響がない」(同公庫担当者)としていますが,ローンが銀行に取って代わった場合,公庫が実施している,リストラや賃金カットでの返済困難者への「救済措置」が存続できるか危ぶまれています。
 また,新規借り入れの場合,利益第一主義の銀行は,顧客を職業や収入で選別するのではないかとの指摘もあります。


大規模修繕に欠かせない「リフォームローン」は?

 管理組合が行なう大規模修繕工事の資金調達の一つとして,「共用部分リフォームローン」があります。
 現在の返済利率は2.7%で,都や一部の区市で実施している公庫融資を条件とした助成制度を併用すれば,さらに安い金利での返済ができます。公庫ローンがなくなれば,この助成制度も自動的に廃止の方向になります。
 銀行などの民間が実施しているリフォームローンは,廃止・縮小の流れになっており,公庫は,大規模修繕の資金確保に欠かすことのできない役割を果たしています。


ペイオフ対策として有効な「修繕債権積立制度」はどうなる

 公庫は昨年からマンションの適正な修繕資金の積立てと適切な保管を目的に,管理組合を対象に「マンション修繕債権積立制度」をスタートさせました。公庫が発行する一口100万円(複数購入可能)の10年債を管理組合が最大10年連続で購入でき,公庫が無償で保管するシステムとなっています。同債権は,来年4月に解禁されるペイオフ対象から除外されるため,修繕資金の安全な保管対策の一つとして期待されているだけに,その行方に大きな関心が寄せられています。


住宅金融公庫の廃止は国の住宅政策の放棄

 政府は,公庫廃止について「役割は終わった」「著しく民業を圧迫している」などを理由としています。
 公庫は,国民のマイホームの実現や融資条件による居住水準の引き上げなど国民生活向上に大きな役割を果たしています。
 また,住宅雑誌の調査でも,住宅取得希望者の8割が「公庫ローンを利用したい」と要望していることからも,公庫の存続は国民の切実な願いです。
 公庫の「廃止」は,都市基盤整備公団(旧住宅・都市整備公団)の「廃止・民営化」とともに「勤労者市民の福祉の原点である住生活改善を阻もうとしている」(本間義人法政大学教授・朝日新聞8月22日付け)など多くの有識者からも批判が続出しています。
 「適切な住まいの確保は国民の権利。国はそれを保障する責務がある」(第2回国連人間居住会議宣言)が世界の流れです。これに調印した政府の公庫廃止案は,それに逆行するものです。


住宅金融公庫の新規融資を
「存続してほしいか」
「廃止したほうがいいか」

「週刊住宅情報」調査から(9月12日号)
存続 77%
廃止 14%


「マンション管理適正化法」8月からスタート

−マンション管理が新しい時代に−


シリーズ…「管理適正化法」の上手な活用法1

法第3条にもとづく「マンション管理適正化指針」のポイント

 「マンション管理」を法律に初めて位置づけられた「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」が施行されました。この法律を活かしての管理のあり方を考えていきたいと思います。


適正管理は社会的要請

管理の主体は管理組合
開かれた民主的運営を

 「指針」では,「マンションは重要な居住形態となっており,適切な管理は,マンションの区分所有者等だけでなく,社会的にも要請されている」としています。  マンション管理の主体は,管理組合であることを初めて法的に明記しました。その運営は,情報公開などにより民主的なものとし,また,適切な管理規約の作成,健全な会計と経理の確保,長期修繕計画の策定と必要な修繕積立金の積み立てを行なうよう定めています。


管理運営にはすすんで参加を

管理業務委託は管理組合の主体性で

 区分所有者は,管理組合の一員として,快適で適正な利用と資産価値の維持を図るため,積極的に管理運営に参加し,管理規約や集会の決議等を守ることを求めています。  管理業務を管理業者に委託する場合は,内容を十分に検討して書面をもって契約を交わすこととしています。また,管理業者の選定にあたっては,必要な資料の収集,情報の公開など,適正を期すべきとしています。


国・地方自治体は積極的に支援を

マンション管理士等の活用

 国,地方公共団体等は,マンションの実態調査や把握,情報・資料の提供,技術的支援,相談体制の整備など管理組合等への支援に努めるよう定めています。  マンションの管理には専門的知識が必要であり,必要に応じて,マンション管理士や専門家などの協力を得て,主体性をもって対応することが必要としています。

*マンション管理士…管理組合の運営などに助言・指導等を行なうことを業とする人。国家資格の取得と登録が必要(法2条)

関係者からの意見

管理の主体である管理組合でいっそうの具体化を

日本住宅管理組合協議会常務理事 原 直男氏

 「指針」には,日住協など管理組合の団体が主張してきたこと,つくりあげてきた成果が,かなり書き込まれました。(1)分譲マンションの管理の主体は管理組合であること,(2)管理事務の委託は管理組合と管理会社との対等な契約関係であること,(3)国や自治体の管理組合の支援の必要などです。
 「項目の羅列」で具体的な書き方でないのが残念ですが,解説書にも目を通し,それぞれの管理組合で具体化していってほしいと思います。


国・自治体は金銭面などで管理組合への支援を

弁護士 榎本武光氏

 マンション管理の主体が管理組合であり,その運営にあたり,区分所有者等の意見が十分反映されるべきとする点は基本的に評価できます。他方,管理組合の主体性を強調するあまり,国・地方公共団体およびマンション管理適正化センターの責任を事実上,情報・資料の提供,技術的支援等に限定しています。結局,相談体制の充実に収斂している点は,管理組合にとって必要とされる金銭面での保障を欠く点で不十分というべきです。


無料マンションなんでも相談会

12月15日(土)午後2時〜4時

日野市民会館 3階会議室(JR「日野駅」から徒歩10分)

相談員:弁護士 佐治融さん・一級建築士 鈴木博之さん

事前に予約してからおでかけ下さい

「マンション管理適正化法」全文をご希望の方は,ご連絡下さい



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