石原改憲草案全容がわかる

1993年「黎明の会」まとめ

「九条」改定し海外派兵部隊を創設  天皇元首化/国民に勤労奉仕義務

2000年11月30日(木)「しんぶん赤旗」より


衆院憲法調査会にきょう参考人出席

 石原慎太郎東京都知事が衆議院議員当時、代表をしていたグループ「黎明(れいめい)の会」が一九九三年四月にまとめた憲法改正草案の全容が二十九日、わかりました。
 本紙が入手した「黎明の会・憲法新規制定第一次草案」によると、戦争放棄・戦力不保持を規定した現行九条は全面改定し、「自衛隊および国際平和協力部隊」の名による戦力保持を明記、天皇の元首化など、戦力利用と復古的傾向が特徴です。石原氏は三十日、衆院憲法調査会に参考人として出席し、意見をのべることになっています。
 黎明の会は九二年暮れから九三年四月にかけ約半年にわたって改憲案を検討。「憲法新規制定第一次草案」をまとめました。草案は石原氏が起草することに決まっていた前文が未完成のままで全文は十一章八十四条。「黎明の会での議論を踏まえたものだが、いうなれば現行憲法にたいする“石原憲法”案といっていい」(元同会関係者)といいます。
 第一章は現行憲法と同じ天皇に関する規定で、第一条は「天皇は、日本国の元首であり、日本国(の永続性)及び日本国民統合の象徴」と記述、別案として「日本国民和合共同の象徴であって、日本国を代表する」を併記しています。
 現行第二章(戦争の放棄)については、章を「平和と安全」として三条にわたって記述。第八条は自衛隊と国際協力部隊による戦力保持を明記した上で、内閣総理大臣が、「部隊の最高の指揮監督権を有する」とし、現行自衛隊法第七条に規定される首相の自衛隊指揮権を憲法上の規定としています。
 「国民の権利・義務」規定では、「報道は真実、公平、公正なものでなければならない」(第一三条二項)、「家庭の尊重」(第一六条)、「環境保全義務」「社会奉仕活動を行う義務」(第一八条)などを新たに設けています。
 石原氏は、昨年の都知事選では改憲を主張し、公約にはかかげたわけではありません。知事就任後は、憲法否定の言動をくり返し、批判をあびています。

“石原憲法”の主な条文

 石原慎太郎都知事が衆院議員当時に代表をしていたグループがまとめた、「憲法新規制定第一次草案」の主な条文は次のとおり。
 
 第一条 天皇は日本国の元首であり、日本国(の永続性)及び日本国民統合の象徴である。
 (別案)天皇は、日本国の象徴であり、日本国民和合共同の象徴であって、日本国を代表する
 第七条(人類全体の安全の確保)(1)日本国民は、人類全体の生存を確保するため、国家の枠を超え、次のことに積極的に取り組む。
 一 地球環境の保全
 二 核兵器、化学兵器、生物兵器等の大量破壊兵器の廃絶
 (2)前項の目的を達成するため、環境保全体制の確立、核兵器の製造・保持・持込禁止制度の普及及び軍備縮小に努める。
 第八条(戦争の放棄、集団的安全保障体制の確立、指揮監督権)
 (1)(略)国際の平和と安全を確かなものとするため、国際社会全体による安全保障体制の確立に努める。武力による威嚇又は武力の行使は、自衛及び国連指揮下の平和維持活動への参加の場合を除き、永久にこれを放棄する。
 (2)前項の目的を達するため、自衛隊及び国際平和協力部隊を保持する。
 (3)内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊及び国際平和協力部隊の最高の指揮監督権を有する。
 第九条(条約及び国際法規の遵守)
 (1)日本国民は、国際協調体制を確立するため、自ら締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守する。
 (2)前項の場合において、憲法との間に不一致が生じたときは、憲法を優位とするも、これが一致に努めなければならない。
 第八二条(限時法、改正の手続き、その公布)
 (1)この憲法を始め、すべての法律は、施行後二十年を経過した日に、その効力を失う。(以下略)