石原都知事が「東京構想」

大型開発突出、福祉は縮小・撤退

2000年 9月 9日 (土)「しんぶん赤旗」


 石原慎太郎東京都知事は八日、今後の都政の基本となる「東京構想二〇〇〇」と「都政改革ビジョンI」と題する二つの中間報告を発表しました。

 「東京構想」は二〇一五年までの中・長期的な将来像を示したもので、東京圏の「環状メガロポリス構造」を実現するとして、都心再開発や大型幹線道路など大型開発の推進を柱にし、東京の生活像、都市像、九地域の開発目標、行政像など、「東京がめざす将来像」を示しています。

 政府の「五全総」、「第五次首都圏基本計画」を下敷きにして、首都圏中央連絡道路、東京外郭環状道路など三環状道路、第二湾岸道路、首都圏第三空港を整備。首都高中央環状線内側をセンターコア(都心部)とし「国際競争力を備えたビジネス拠点」に整備し、臨海副都心や汐留、秋葉原に複合的な機能を集積、都心から三十〜四十キロ圏内の東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城県の業務核都市と結ぶ「環状メガロポリス」構想を提起しています。

 これをすすめるために、都道府県制にかわる「新しい広域自治制度」をうちだしました。

 また十六の政策目標を示していますが、医療・福祉、住宅など都民要望の強い施策については、拡充する方向は見当たらず、「小さな政府」の名のもとにサービスを切り捨て、サービス提供の中心を民間事業者に任せるとしています。

 「都政改革ビジョン」は「東京構想二〇〇〇」をすすめるため直ちにとりくむ新しい「行革大綱」と位置づけ、「中間まとめ」では都の事務事業の民営化、民間委託を強調し、東京都の都民サービスの縮小・撤退方針を示しています。


石原都知事の「東京構想」

「小さな政府」で都民施策撤退
国の計画に沿い大型開発推進

 石原都知事が発表した「東京構想二〇〇〇」(中間のまとめ)は、「民間では対応困難な分野に、行政の活動領域を限定することにより、小さな政府をめざしていく」として、東京都の行政の役割の第一に、道路、港湾、空港などの社会資本整備をあげています。

 そして「構想」が随所で強調したのは、「メガロポリス構造」の名のもとに圏央道、東京外環道、首都高速中央環状線の三環状道路、第二湾岸道路の建設、副都心の整備など東京圏の大開発方針。

 これらは、日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)など財界が要求してきたもので、これをうけた国の「第五次全国総合開発計画」「第五次首都圏基本計画」にもとづくものです。

 計画策定にたずさわった都の幹部も、「首都圏基本計画と、基本的にずれはないと思う」と認めます。

横田基地返還ふれず

 都民施策はどうか――。「東京構想」は、都民にたいし「自立・自助」を強調し、都民サービスの撤退・縮小方向を示しています。

 構想は「都民が安心して生活できる東京」をめざすとしながら、都民要望の強い福祉や医療・保健については、サービス提供の基本は民間事業者・企業にゆだね、行政は「市場原理や地域の自主活動だけでは提供できない分野」などに限定するとしています。

 民間企業にたいしては、都市開発への参画、営利企業が病院経営を可能にすることや、認可保育園にも参入できるよう「規制緩和」の一層の推進をうちだしています。

 いま都民からは、介護保険の導入、都の福祉切り捨てのもとで、施策の拡充をのぞむ声が高まっています。民間企業ですら早くも介護サービスからの撤退・縮小が始まっているなか、都政の責任と役割を放棄するのでは、都民の不安をさらに募らせるものです。「東京構想」は、地方自治法で定める「住民の福祉の増進を図ることを基本」(第一条の二)にするという、地方自治体の責務と大きくかけ離れています。

 「構想」は、平和についてはまったくとりあげず、東京の平和と安全を守るうえで最大の課題であり、石原知事の公約でもある米軍横田基地の返還については一言もふれていません。

(岡部裕三記者)