東京都の石原都政が、都民が守り育ててきた福祉制度や医療助成の軒並み切り捨ての動きを強めています。
この10月から実施されるシルバーパスの全面有料化もその一つです。
シルバーパスは、70歳以上で一定所得以下の高齢者が都営交通と民営バスを無料で利用できる制度です。 もともと、革新都政時代の74年、「東京都敬老乗車証」として始まり、80年に所得制限による一部有料パスが導入されましたが、一定所得以下のお年寄りにたいする無料制度として喜ばれてきました。
それが、今回の改悪ですべての高齢者が自己負担を強いられる全面有料化に踏み出すのです。
これまで無料で利用してきた約80万人の高齢者のうち70万人を占める住民税非課税者は、1000円(年間)の自己負担となります。
「1000円といっても有料化は痛い」との声があがっているのに、残りの10万人(住民税課税者)の自己負担額はさらに過酷です。 経過措置として今回は5000円ですが、1年ごとに5000円増となり、03年度からは年間2万510円の負担となります。
「今回は5000円だから購入したけど来年からはどうするか。 年金も少ないし介護保険料だって大変」。 こうした都民の声を逆手にとり、都はすでにバス利用者の減少を見込んでいます。
都の推計では、この2万510円のパス購入対象者は、これまでの対象者とあわせ03年度には40万8000人となるものの、うち半数以上の26万人はパスを購入しないと見ています。
シルバーパスの有料化に反対する日本共産党や市民の運動にたいし、「都は存続を決定」「大幅に減額」(公明党)などと大宣伝して都民を欺いてきた勢力の責任は重大です。
無料制度の全面廃止など福祉の後退は、シルバーパスにとどまりません。
すでに、お年寄りの命綱である老人医療助成(マル福)や、寝たきりのお年寄りを支援する老人福祉手当の廃止にむけた段階的削減が始まり、都民から驚きと怒りの声が広がっています。
老人医療助成は対象年齢を引き上げていき、老人福祉手当は新規該当者への支給をストップし、それぞれ6年、3年で廃止します。
所得制限など福祉を縮小するにとどまらず、無料制度の全面廃止など福祉サービスを根こそぎにしようというのが、石原都政のやり方です。 「財政難」を口実にこれまでのどの都政もできなかった最悪の福祉サービス切り捨てをやろうというのです。
不況でもっとも深刻な被害を受けているのは低所得の人々です。 都政がやるべきことは、住民の健康や福祉を守るという自治体本来の姿に立ち返り、国の悪政や不況の防波堤となって応援することです。 低所得者などをねらいうちにし、その命綱を断ち切ることさえ、平気で強行しようという石原都政のやり方はとんでもない逆行です。
しかも、都民向けには「財政難」の口実を最大限につかいながら、その一方で臨海副都心開発に今後も2兆円もつぎこむなど、財政難の原因となっている大型開発の浪費は拡大しようというのです。 ここには都民のくらしよりゼネコン型公共事業を優先する、自治体本来の魂を失った都政の姿が象徴的にあらわれています。
日本共産党は広範な都民と協力して福祉後退に歯止めをかけ、いっそう充実させるため全力でがんばります。
都議会の定例会が始まっています。 都民が築いてきた福祉を根こそぎにする石原都政にたいし、各党がどういう態度をとるのかが問われています。