お元気ですか沢田敏彦です No.21
「緑につつまれ,友愛に満ちたまち」(基本構想)の精神はどこに?
いま稲城市が積極的にすすめようとしている南山東部開発をご存知ですか?この事業は,よみうりランドの西方に広がる緑豊かな丘陵を,土地の大部分を所有する三井不動産など大手開発業者が中心となり地権者で組合をつくり,土地区画整理事業という手法で開発を行なうというものです。
市の将来計画を定めた第3次長期総合基本計画においても,この地区を「交通至便な眺望のよい良好な住宅地の形成に向けて事業を支援し…,道路交通についても利便性の高い地区として整備を進め」るとし,事業主体となる組合に対しても,今議会での市長所信表明で「早期の組合設立ができるよう努めてまいります」と述べるなど,市は全面的なバックアップを表明しています。
しかし,この事業がとんでもない環境破壊と市民負担をもたらすものであることが,この間の審議を通じて明らかになってきました。まずは環境への影響ですが,計画区域の88・9ヘクタールもの広大な丘陵緑地のうち,手つかずのまま残される緑地は,全体のたった8・2%の7・3ヘクタールの残留緑地だけで,公園緑地として整備されるものを含めても全体の14・4%の12・8ヘクタールしか緑は残りません。これでは環境への影響も危惧されます。
里山と呼ぶに相応しい南山の緑が失われることによる気象に与える影響がとくに心配されます。ヒートアイランド現象の加速や風向き,地下水系への悪影響,これらのことは周辺の梨畑にも大きな影響を及ぼすに違いありません。また生息が確認されている稀少生物への影響,とくにオオタカやトウキョウサンショウウオなど絶滅危惧種の生息も危ぶまれています。食物連鎖にも大きく影響を及ぼし,動植物の植生も激変することになるでしょう。
また計画では,開発によって7600人の人々が暮らす新たな街を造ろうとするものですが,稲城大橋につながる補助幹線道路など都市計画道路の建設や公園の整備,また新たに建設される住宅への下水道の整備など,少なくとも14億円以上の市税の投入が必要です。
そもそも土地区画整理事業というのは,土地の整備を行なうことに伴なってその土地の利用価値を高め,地価の上昇を誘導し,その差益で事業をすすめるというものです。その前提ともなる整備後の土地利用で,事業費が補償されなければなりません。南山東部地域の場合,具体的には7600人もの住民が暮らす住宅の供給が果たして必要か,ということが問題になってきます。ますます少子化が進み,将来人口の減少さえ言われているなかで,住宅需要が見込めるのかという疑問が出てきます。事業そのものが成り立つかどうかは別として,利益を得るのは三井不動産など開発業者だけです。多くの小規模土地所有の地権者には莫大な負担だけが残り,また事業のツケは,将来にわたって市民にも降りかかってきます。事業が頓挫してからでは手遅れです。一度切り崩された緑は取り戻せません。あらゆる調査で”緑豊かな街=稲城”を市民は望んでいます。南山開発は,地権者だけの問題ではありません。
市民の声が生かされる街づくりが,いまこそ求められているのではないでしょうか。どういう街を造るかは,私たち市民一人ひとりの手に掛かっています。みなさんの声をお聞かせください。